山口昌子『シャネルの真実』 – シャネルの人生を知らないと読めないシャネルの人生に関する書、という矛盾

ああ、しんどかった!

まるでシャネル年のごとく立て続けに映画が公開され、関連して本屋では伝記などが続々と平積みされている。
Bunkamuraで公開中のシャネル映画を見に行きたいと思っているのだが、その前にシャネルに関する基礎知識を仕入れておこうと思って手にした伝記。

が、この本、読むのが本当にしんどかった。
本全体を通してフォーカスがぼやけまくっていて、話も飛ぶし、登場人物がものすごく多い割には重要度が分からないし、シャネル自身に関する話と時代背景を説明するエピソードが同列に入り乱れるおかげで、メモを取りながら読まなくちゃいけないんじゃないかと思うような複雑さだった。

とにかく一気に読み進めることが難しいくらい時代とエピソードと登場人物が入り乱れて登場するので、その流れを無視してとにかくひたすら読み進めるという読み方に切り替えるまでものすごく苦労してしまった。
登場人物もすごく多いのだが、2ページ前にたくさん搭乗した人物のうちの一人がシャネルの人生に大きな影響を与えたというのは周知の事実だと言わんばかりに再登場して面食らうこともしばしば。

シャネルの人生や、彼女を取り巻く重要人物・時代背景をあらかじめ理解していないと非常に読みづらいという。
それが知りたいから伝記を手に取るのにー。

著者の経歴を見てみると、こんな感じ。

産経新聞パリ支局長。慶應義塾大学文学部仏文科卒業後、フランス政府給費留学生として新聞中央研究所(CFJ)に学ぶ。産経新聞入社後、教養部、夕刊フジ、外信部次長、特集部編集委員を経て、1990(平成2)年5月より現職。1994年にボーン・上田記念国際記者賞を受賞、2001年にフランス共和国より国家功労賞を受賞。著書に『大国フランスの不思議』『エリゼ宮物語』、共著に『20世紀特派員』など。また、訳書に『マリー・キュリー』ほかがある。

現役らしく、MSN産経で署名記事が読めたりするのだが、新聞記事程度の長さのものを書くのと、本一冊分のボリュームをまとめ上げるのとは別の才能ということだろうか。

ぜーんぜんシャネルの人生がつかめなかったし、共感もできずに終わってしまったので、もう一冊シャネルに関する本を買ってみようかと思うのでした。

シャネルの真実 (新潮文庫)
シャネルの真実 (新潮文庫) 山口 昌子 (著)
新潮社 2008-03-28
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