「重い・・・」
1冊が1.5センチくらいありそうな3冊組の文庫を手に取った最初の感想。
分冊という文化がないアメリカでは1000ページを超えるハードカバーとして発売されているらしく、それはさらに重いに違いない。
夏休みの読書にもってこいのこの3冊を軽井沢に持ち込み、雨ばかりで別荘に閉じ込められる中、一気に読了しました。
いつか、イングランドでいちばん高い建物を建てる――大きな夢を抱く建築職人のマーティンは、その才能に嫉妬した元親方の策略によって破門され、細々と生計を立てていた。一方、彼の恋人で富裕な羊毛商人の娘カリスは衰退する羊毛市を救うため、老朽化した橋の修復計画に奔走する。
そんな折り、町の橋が崩壊して多数の死者が!
マーティンは橋の修復を依頼されるが、元親方は修道院長と手を組んで彼から仕事を奪いとった。折りしも、カリスはキングズブリッジを自由都市にする運動に携わるが、税金の徴収ができなくなることを恐れた修道院長の陰謀により、魔女裁判にかけられてしまう。
生きのびるためにカリスは修道女の道を選ぶが、失意のマーティンは町を去り、建築の修行にフィレンツェに移ることを決意する……。
マーティンは、フィレンツェで建築職人として成功を収めた。数年後、疫病によって家族も仕事も失った彼は、ふたたびキングズブリッジに戻ってきた。が、ここでも疫病は猛威をふるい、町は壊滅状態となっていた。やがてマーティンは、女子修道院長となったカリスに依頼され、町の復興を賭けて大聖堂の塔の建設に着手する……世界をふたたび熱狂させた壮大な物語。全世界で1500万部のベストセラーとなった『大聖堂』から18年、世界中をふたたび熱狂させた続編が登場。
全米ベストセラー第1位。世界27カ国で出版決定。
あらすじをAmazonから拝借してきただけでこの長さ!
幼馴なじみの男女4人を中心に、中世のキングズブリッジという大聖堂を抱える町で繰り広げられる夢と野望と陰謀とくじけることない挑戦、そして何より愛の物語。
強大な権力をもつキリスト教聖職者、容赦なく襲い来るペストの恐怖、理不尽な領主の横暴とそれに耐えるしかない農民の対立、たくましく経済を発展させていく商人たち。
暗黒の時代と言われる中世ヨーロッパの世界が細部までいきいきと描写されており、読みながら様々な光景が目に浮かぶよう。
登場人物たちもそれぞれにとても丁寧に描かれており、読み進みながらいちいちイライラさせられたり、ハラハラさせられたり、幸せを感じたり。
原作の物語もとても素晴らしいのだろうけれど、やっぱり翻訳ものでのめり込めるポイントは良い翻訳だと思う。
「原文ではどういう表現だったんだろう?」「たぶんこれは英語で○○と書いてあったんだろうな」などと余計な事を考えなくても一気に読めたのは、良訳の証拠でせう。
かなり時間を取って読めたのが3日。(しかも1日は思わずのめり込んで読んでいるうちに夜が明けてしまった。)寝る前に1時間くらいずつ読んでいたのが4日ほど。
なので、全部で1週間ほどかけて読み終わりましたが、1週間かけて読んだかいがあった!
これだけ長いのに中だるみすることなく、次の章、次の展開が気になってぐいぐい読み進んでしまう。
登場人物が割と多くて、物語が複雑に絡み合うので、できればまとめて時間を取って一気読みすることをお勧めします。
ところで、この本は『大聖堂』という、これまた上中下3冊になった長大な物語の続編らしい。
さすがに連続してこの規模の物語を読むのは厳しいものがあるので、少し涼しくなった頃にまたチャレンジしてみたい。
また、ケン・フォレットという作者も今回初めて知ったけど、もともととても定評のあるストーリー・テラーらしいので、歴史物ではないほかの作品も読んでみたい。
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