アントニー・レジューン『ミスター・ディアボロ』 – せっかくの本格ミステリーなのに、翻訳がマズイ

翻訳ものミステリーを買うときは、いつもちょっとドキドキする。
どれだけあらすじが面白そうでも、ちらりと立ち読みした数ページがイケてても、翻訳がマズイとすべてがパーになってしまってかなり悲しい思いをするから。

『ミスター・ディアボロ』も翻訳にやられた。

西洋学研究学部の裏手を通る“悪魔の小道”。そこはかつて、一人の学生がシルクハットにマント姿の怪人と遭遇した末に首を吊ったという因縁の小道だった―。学会の夕食会の席上、この恐るべき逸話が披露された直後、伝説の“ミスター・ディアボロ”と思しき人影が中庭にたち現れる。“悪魔の小道”に飛び込んだ人影は、衆人環視のもと忽然と姿を消す。さらにその夜、密室状況で死体が発見され…。カー顔負けのけれん味と、華麗なロジックを兼ね備えた、知られざる60年代本格の逸品、遂に登場。

ほらね、あらすじを読むと面白そう。
しかも本屋では平積みされて、POPまでついていた。
期待して買ったのに、お金返せー!と思うほど酷い出来であった。

舞台はイギリスの歴史ある大学。
大学に伝わる伝説の怪人にそっくりの謎の人物が現れ、忽然と消えてしまう。
そして起こる密室殺人事件。
謎を解くのはワトソン役の若い大学フェローと、ホームズ役の謎解き大好きな素人探偵。
本格ミステリーの要素はすべてそろっているのに、なぜここまで読みづらくて面白くないのか?!
それが一番の謎だったりして・・・

原文を読んだわけじゃないので何とも言えませんが、もうちょっとスムースに読める文体になってたら全体の印象もかなり違っていたのではと思ってしまう。
一つの段落の中でさえぶつ切りになるような文章、かつ、前後の段落とのつながりを見失いそうになるような脈絡ない話の展開を最後まで読み進めるのは骨が折れました。

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